ミッドナイトコール【田口ランディ】

ミッドナイト・コール

ミッドナイト・コール

女の子の恋、主にセックスと一筋縄じゃない男性関係を中心に描いた短編集。

あとがきを読んで筆者が女性であることに気付いた(アンディ・メンテも最初女の子だと思っていた)。


ライブラリで何気なく手にとった一冊がまさかこんな内容のものとは思わなかった。

妻子持ちの男とのセックスの話しとか流産した後の男の最低度合いとか大晦日に好きな人からの電話を待っていたら別の変態男にケータイ拾われて卑猥な話しをされる話とかいろいろとひどい話しがてんこもりなんだけど、

どこか女の子ってこういうもんだなーとか

男って鈍感だなーとか


男も女も大してかわらねーなーとか

色々思う。


あと、読んでいる最中に自分の好きな子もあの憧れの誰それという奴とこういう風にセックスしたり一緒に寝るだけだったり切ない思いをしたりしているのかもしれない、と勝手に妄想を膨らませて

全く蚊帳の外の自分にどうしようもなく腹がたって、
ペンタブやテーブルを殴りそうになった。

未遂でよかった。

買いなおす金はない。



あとがきに、おじゃるまるからの引用で(さっきまで舐めるだの最後は愛だの言っていたのにすごい話が軽くなった)昔の人は「石文」といって、自分に”ぴったり”の石を探して、それを気になる相手に渡し、またその相手も自分にぴったりの石を探して、それを相手に渡すのだと。


自分にぴったりの石を探さなければならないのだと。

そしてそれが愛なんだと。

そう〆られると、僕も振り上げそうになった左手をこうしておとなしくブログのエントリにーに走らせることになってしまった。


珍しくネタバレ全開のログなのだが、これは明日の球技大会となれないジャンルの小説のせいで気分が高騰しているせいにちがいない。


しかし、多少エロい小説を読んだだけでこうもかき乱されるとはまだまだおこさまだ。


エレジーやさよならのメテオで、きれいな恋をみたあと、こういったリアルな生生しい話しをみると、こうも俺の望んだフィクションは儚いのか、と痛感させられる。


それでも、自分の中で育んだ理想や夢や憎しみや愛情というのは、そう簡単に消えるものでもなくて、

それらはときにプラスに、だいたいマイナスに自分に働きかかり、

それでも捨てるに捨てられないほど、大切なものなんだという意識だけが、

僕が僕ということで生きているということを正当化する。