Valiant Hearts:The Great War

Steamで購入後、Uplayで起動。日本語対応。一度クリア。

UBISOFTモントペリエモントリオールかと思ったが違った)スタジオ作アドベンチャー


第一次世界大戦勃発により、翻弄される人々の記録。

かの有名なサラエボ事件に端を発し、徴兵されるフランス人農夫のエミール、その娘マリー。
ドイツ人という理由から祖国へ強制送還され、やはりドイツ軍に入ることになったマリーの夫カール、といった場面から物語は始まる。


群像劇の形をとっており、複数の人物の体験を時には時系列をさかのぼって追っていく。


登場人物には投げる、走る、よじ登る、レバーを引く、犬に指示をだす、といった共通アクションの他に固有の特技がある。


エミールには穴掘り、米軍工兵であるフレディは鉄条網の撤去、アンナは応急処置、といった具合である。


ゲーム進行はこれらのアクションを活かしてパズルを解く比較的静的なパートと、激戦区を突破したり、戦場で任務にあたるなどの動的なパートとに分かれて緩急を生んでいる。


タクシーを修理し、兵士を前線に送り込んだり、軍服の用意をして誇らしい気持ちで戦場に駆けつけるも、そこで待っていたのは凄惨な光景であった、的な。


アートをみたらわかるけど極めてデフォルメされた(目がほとんど描かれないような)キャラクター達が、コミカルに動く反面、描かれるのは無数の砲火と機関銃に晒されて四肢をもがれて死んでいく兵士たちであり、この辺のギャップが逆に胸を打つ。


ゲームの進行に伴って史実の紹介(協力サイトを引用した上で当時の様子がわかる実写が掲載される*一部グロ画像もある)と主要キャラの日記が更新されていき、また収集アイテムを集めることによって当時の戦場や人々の生活が浮き彫りになっていく。


シーン毎にこういった背景資料を提示されつつ物語の展開が起こるため、今キャラクターの置かれた状況というのかわかりやすかった。


個人的にこのゲームの大好きな所は、「戦争という大きくどうしようもないもの」に対して、個人が個人なりの知恵と勇気で立ち向かうという点が良く写されているところ。


敵を殺すとか、敵国を撃退するとかそういったゴールではなく、生き残って家族の元に帰る、だとか、一人でも多くの命を助ける、だとか、あくまで戦争という非日常において、その(非)日常に埋もれずに平時の人間性を保とうする戦いが展開されている感がすごく好きだった。

主にフランス軍とドイツ軍の戦いが描かれるのだけど、どっちの国の兵士もこんな戦争は無意味だと感じていて、家族を想う手紙を書き残したりしているし、犬を愛する心は残っている。


それでも敵がきたら殺すというのが戦争というものだし、時には敵軍同士で助け合うというエピソードがあるというのも人間というものだし、そういった複雑な人間描写、戦争の描写がよく出来ていると思った。


人間が他の動物より優れている点は遠くにものを投げれる事、という話を彷彿とさせるほど投げるというアクションが大事だったり、犬がかしこすぎてやばいとか、兵士はみんな犬には警戒せず隙をみせるとか、犬が何かをとってきたらキャラクターは皆犬を褒める、とか細かいところを挙げだすとキリがない。


おそらく端的にバリアントへの想いが書けたのは購入前にツイッターでつぶやきまくったあのあたりなんだけどその辺をいまいち思い出せないのでアレ。


ともかく、購入前の勝手な思い込みで感動していた部分が、全く裏切られることなく底上げされていったという稀有な体験のできた作品なので、良い話に触れたい人にはかなりオススメしたい。オータムセール終わったけど。