まんがの作り方[ネタバレ小]

元漫画家の先輩と現役漫画家の後輩が、先輩の百合を書くため、という不純な動機のために交際を始めるお話。

まんがの作り方 (1) (リュウコミックス)

友人に借りて2冊読んだんやけど、なんと言えば良いか言葉を捜すためにブログを書き出したようなもの。

この作品におけるモノをつくる、ということについて、あーそうだよねー多分って共感したくなる。


ネタがない!

書けたけど面白くない!

作りたくないもの作ってるけどなんか評価されてる!

2chみなきゃよかった!


それはとてもリアルな現場の人間の苦悩であって、おそらくどんな分野でもありえることだと思う。


僕はエレGYのときもそうだったけど、フィクションとはいえ、書き手の人生の半鏡のような作品はとても好きで、入り込みやすい。

それは自分もある程度はモノ作りの苦悩を垣間見たような気がしているからなんだけども。

え、そんな気持ちで書いたプロットが通っちゃうの?とか、気持ちや調子や日常の浮き沈みで作品を決めちゃうプロってなんなんだろうなーという。

登場人物からまじめに漫画書けよ!って突っ込まれる二人の主人公は、どちらもなんかリアル。詳しく書かないけど僕の中でとても共感できる。


あと、百合漫画といえなくもないけど、これって百合なのかなーという。

少女漫画だとこれくらい仲良いのって普通のような気はする。
もっとドロドロしていたものも想定していたので、まァ別に百合ってほどでもないかなーとか。



この漫画の何が良かったかって、ネタがないときにネタ集めに走るという一見行動力がありそうなんだけど、その実モノ作りに根本的に必要なもの、「作りたいという気持ち」というものが欠けていることに気付くかどうかみたいな、とても共感できるメッセージがあったことなんよね。


作りたいという気持ちと、作れるという技術と、作っちゃったという結果と、作れないという過程はそれぞれ独立で、分断されていて、それら個々のみには価値はないというか。



売れる+モノを+作れ

というのは商業の鉄則であるけど、それは理想であって。


作りたい+モノを+作る

というのはクリエイターの夢であって。


作りたい+モノが+作れない or わからない

というのが大方の人間の現実であるんだよね、って漫画読みながらそうだよねそうだよねって勝手に納得できるのがとても良い。


作者自身は巻内で多くのことを語らないけど、作品から感じるのはそういう、「生のモノつくり観」であって、それが作者にとっては漫画なんだなーという。



自分自身実際に作ってるもの、作りたいもの、作れないものがかなり分断独立しているのもあって、こういう思いと技術と結果と評価のギャップ、というのは、とても理解しやすいなーと思ったわけやな〜と。